AIビジネス

【徹底比較】AIクラウドサービス|AWS・Azure・GCPのAI機能を解説

AIクラウドAWS

はじめに

AI開発・運用の基盤として、AIクラウドサービスの重要性がますます高まっています。AWS、Azure、Google Cloud(GCP)の3大クラウドプロバイダーは、いずれもAI・機械学習に特化した強力なサービス群を提供しており、企業にとって最適なプラットフォームの選択が戦略的な決断となっています。

本記事では、AI クラウドをテーマに、3大クラウドプロバイダーのAI関連サービスを機能・料金・ユースケースの観点から徹底比較します。Harmonic Societyが複数のクラウドプラットフォームでのAI導入を支援してきた経験をもとに、実務に即した比較情報を提供します。

AIクラウドとは?なぜクラウドでAIを動かすのか

AIクラウドとは、クラウドインフラストラクチャ上でAI・機械学習のワークロードを実行するためのサービス群を指します。オンプレミスではなくクラウドでAIを動かすメリットは以下の通りです。

  • スケーラビリティ: 必要に応じてGPU・TPUなどの計算リソースを柔軟に拡縮できる
  • 初期投資の最小化: 高額なGPUサーバーを購入する必要がない
  • マネージドサービス: インフラの運用・保守をクラウド側に任せられる
  • 最新技術へのアクセス: 最新のAIモデルやフレームワークがすぐに利用可能
  • グローバル展開: 世界各地のリージョンでAIサービスを展開できる

3大クラウドのAIサービス比較表

機能カテゴリAWSAzureGCP
AI基盤モデルBedrock(マルチモデル)Azure OpenAI ServiceVertex AI(Gemini)
機械学習プラットフォームSageMakerAzure Machine LearningVertex AI
画像認識RekognitionComputer VisionVision AI
音声認識TranscribeSpeech ServicesSpeech-to-Text
自然言語処理ComprehendLanguage ServiceNatural Language AI
翻訳TranslateTranslatorTranslation AI
チャットボットLexBot ServiceDialogflow
文書処理TextractDocument IntelligenceDocument AI
生成AIアプリ開発PartyRock / BedrockAzure AI StudioVertex AI Studio
GPU/TPUP5 / TrainiumND H100 v5A3(H100)/ TPU v5p

AWS のAIサービス詳細

強み

AWSのAIサービスの最大の強みはサービスの幅広さとマルチモデル対応です。AWS Bedrockでは、Claude、Llama、Mistral、Stable Diffusionなど複数のAIモデルを統一APIで利用できます。特定のモデルに依存せず、用途に応じて最適なモデルを選択できる柔軟性が魅力です。

主要サービス

  • Amazon Bedrock: 基盤モデルへのAPIアクセス、RAG構築、エージェント開発
  • Amazon SageMaker: フルマネージドの機械学習プラットフォーム。モデルの構築・学習・デプロイを一貫して管理
  • Amazon Q: ビジネス向けAIアシスタント。社内データを活用したQ&A、コード生成を提供
  • AWS Trainium / Inferentia: AI学習・推論に特化した独自チップ。コスト効率に優れる

適したユースケース

マルチモデル戦略を取りたい企業、既存のAWSインフラを活用したい企業、コスト最適化を重視する企業に適しています。

Azure のAIサービス詳細

強み

Azureの最大の強みはOpenAIとの独占的パートナーシップです。Azure OpenAI Serviceを通じて、GPT-4o、DALL-E 3などのOpenAIモデルをエンタープライズグレードのセキュリティで利用できます。また、Microsoft 365やDynamics 365との統合が容易な点も大きなアドバンテージです。

主要サービス

  • Azure OpenAI Service: OpenAIモデルのエンタープライズ版。日本リージョンでの提供あり
  • Azure Machine Learning: エンドツーエンドのMLOpsプラットフォーム
  • Azure AI Studio: 生成AIアプリケーションの開発・テスト環境
  • Azure AI Search: AIを活用した高度な検索サービス(RAG構築に最適)

適したユースケース

OpenAIモデルを企業で安全に利用したい場合、Microsoft製品群との連携を重視する場合、日本リージョンでのデータ保管が必要な場合に最適です。

GCP のAIサービス詳細

強み

GCPの強みはGoogleの研究力を活かした最先端のAI技術です。Geminiモデルのネイティブ対応、TPU(Tensor Processing Unit)による高性能な学習・推論、BigQueryとの連携によるデータ分析との統合が特徴です。

主要サービス

  • Vertex AI: 機械学習のライフサイクル全体を管理するプラットフォーム。Geminiモデルとの統合
  • Vertex AI Studio: 生成AIモデルのプロンプト設計・チューニング環境
  • BigQuery ML: SQLだけで機械学習モデルを構築・実行
  • TPU: Google独自のAI専用チップ。大規模モデルの学習に強い

適したユースケース

大規模なデータ分析とAIを統合したい場合、最先端のAI研究成果を活用したい場合、GCPを既に利用している企業に適しています。

AIクラウドのコスト比較

AI クラウドの料金体系は複雑ですが、主要な項目を比較します。

コスト項目AWSAzureGCP
GPT-4o相当(入力/1Kトークン)Bedrock経由で利用$0.005Gemini Pro利用
Claude Sonnet(入力/1Kトークン)$0.003$0.003
GPU(H100 1時間)約$12〜約$11〜約$11〜
ML Platform基本料SageMaker従量課金AML従量課金Vertex AI従量課金
無料枠12ヶ月無料利用枠あり$200クレジット$300クレジット

実際のコストはワークロードによって大きく変動します。各社の料金計算ツールを活用して、自社のユースケースに基づいた試算を行うことをお勧めします。

AIクラウド選定の判断基準

AI クラウドを選定する際の判断フローを整理します。

  1. 既存のクラウド環境: 現在利用しているクラウドに合わせるのが最もスムーズ
  2. 利用したいAIモデル: OpenAIモデルならAzure、マルチモデルならAWS、Geminiモデルの活用を考えるならGCP
  3. データ基盤: BigQueryを使っているならGCP、S3・Redshiftを使っているならAWS
  4. セキュリティ要件: 日本リージョンの有無、コンプライアンス認証の充実度
  5. チームのスキル: 社内エンジニアが慣れているプラットフォームを優先する

マルチクラウド戦略の検討

近年は、単一のクラウドに依存せず、マルチクラウド戦略を採用する企業も増えています。例えば、基幹システムはAWS、AI開発はAzure OpenAI、データ分析はGCP BigQueryという組み合わせも現実的です。ただし、マルチクラウドは運用の複雑さとコストが増すため、明確なメリットがある場合に限定すべきです。

まとめ

AI クラウドの選定は、企業のAI戦略の根幹を成す重要な決断です。AWS、Azure、GCPのいずれも強力なAIサービス群を提供しており、それぞれに明確な強みがあります。最も重要なのは、自社の既存環境、要件、チームのスキルセットに合ったプラットフォームを選ぶことです。

Harmonic Societyでは、AIクラウド基盤の選定から構築・運用まで、ワンストップで支援しています。AI クラウドの活用についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。御社に最適なクラウドAI基盤の構築をサポートいたします。

Harmonic Society編集部
Harmonic Society編集部

Harmonic Society Techの編集部です。AI技術の最新動向を分かりやすくお届けします。